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2024.11.01

板金とは?加工の工程や表面処理の特徴を解説

目 次

板金とは、自動車整備業を含め金属加工全般で使用される言葉です。たとえば、車のボディの引っかき傷やへこみ傷、サビなどを修復する作業を指します。

本記事では、自動車整備における板金加工の過程や、表面処理の特徴、そして板金作業の具体的な修理例について紹介します。また、板金修理を頼む際の業者の選び方についても解説するので、修理をどこに依頼すればいいか迷っている方は参考にしてください。

板金とは?

板金とは、金属加工全般で使われている広義な言葉です。具体的には、金属の板を切断したり曲げたりなど、目的に合わせた形状になるようにする加工を指します。

板金業者や板金塗装などという言葉は、自動車の板金工場や修理工場で見かけたことがある方がいるでしょう。ここでは、自動車業界で使われる板金について解説します。

車業界で使われる板金

自動車業界で使われる代表的な板金は、自動車のボディパネルが挙げられるでしょう。車関連で「板金」という用語が使われるのは主に修理の際です。

自動車のボディは金属製の板で構成されており、壁などにぶつけて擦り傷やへこみができることがあります。また、事故によりボディが大きくへこんだり、塗装が剥がれたりすることもあるでしょう。これらのボディの損傷を修復する作業を一般的に「板金」と呼びます。

板金とは、金属製の板材を切断・穴あけ・曲げなどによって目的の形状に加工する技術のことですが、車の板金作業には、ボディの修復に加えて、壊れた部品やパネルの交換も含まれます。

また、板金作業後に再度塗装を行うこともあるため「板金塗装」として一括りにされることもあります。

このように、一般的な金属加工の「板金」と、自動車の修理における「板金」では、意味合いが異なるのです。車の板金は、事故などで損傷したボディを元通りに修理する全般の作業を指します。

板金塗装のメリット・デメリットは?

板金塗装の最大のメリットは、大きな損傷でもパーツ交換することなく、きれいに修復できる点です。車のフレームが変形するほどの大きなダメージでも、板金塗装であれば元通りに近い状態に修復することが可能です。

塗装をそのまま剥がさずに小さなへこみを修理する「デントリペア」という方法では、専用器具を使って内側からへこみを押し出すことで修理を行います。この方法は短時間で簡単に修理できる点が強みですが、対応できるのはあくまでも小規模なへこみのみです。

また、大きな損傷に有効な方法としては、パーツ交換を前提とした修理も挙げられますが、板金塗装のみで対応できる内容であれば、高額な交換費用を発生させずに修復できます。

そのため、大きなへこみや歪み、傷、またはボディの大破といった大規模な損傷がある場合は、まずは板金塗装を検討してみましょう。デメリットとしては、板金塗装の難しさが挙げられます。板金塗装では、一度車体の塗装を剥がしてから修復作業を行い、最後に再塗装を施すため、業者の技術力によって仕上がりが左右されます。

具体例を挙げてみましょう。調色が不十分であったために、仕上げのカラーが元のボディと完全に一致していない場合、車体の色むらにつながります。その結果、修復箇所が目立ってしまうことがあるのです。

そのため、完全に元の状態に戻すには、技術力の高い専門業者への依頼が大切です。業者によっては、自社の設備が整っていないなどの理由で修理作業を外部委託しているケースもあり、こうした場合は中間マージンが発生することから、費用もかさみやすくなります。

板金塗装が高い理由は?

板金塗装は、デントリペアなどの修理方法に比べて工数が多いため、費用が高くなる傾向にあります。その他、板金塗装が比較的高額になる理由を解説します。

交換部品が高い

板金塗装を行う際、傷やへこみがひどい場合は、やむを得ずパーツを交換しなければならないことがあります。たとえばリアドアやバックドアの交換費用相場は、一般的には10万円以上が目安です。

車のメーカーやモデルによっては、純正部品が必要になることもあります。純正部品は非常に高額で、仮に純正部品のみで車を1台組み立てようとすると、新車の3倍以上のコストがかかるほどです。

純正部品の費用には、部品管理料や在庫管理料、梱包料、運搬料といった諸費用が含まれており、これらの要素が費用増加につながっています。

塗料が高い

塗料自体も板金塗装のコストに大きく影響します。自動車メーカーから純正塗料は販売されていないため、仕上がりのよいものとするには、大手塗料メーカーが販売している高品質かつ高額な塗料を使用しなければなりません。

さらに、カラーを合わせるためには、1台1台丁寧に状態を見ながら調色する工程も必要です。この調色で妥協してしまうと、先述のとおり色むらの原因になるなど仕上がりが悪くなるため、精密さの求められる高度な作業です。

調色の際には、ほんのわずかな量であったとしても、使用するのとしないのとでは大きく色味に影響が出る塗料などもあります。このように、使用頻度が低くても取り揃えておく必要のある塗料は、使用期限切れや品質変化などがあればほとんどを廃棄せざるを得ません。

こうした精密さを求めるからこそ、塗料代は修理費のなかでも高額になりやすいポイントといえます。

設備が高い

板金塗装には、高性能な設備が必要です。たとえば、塗装ブースや専用のスプレーガンなどが挙げられます。これらの設備は非常に高額で、維持費用も発生します。

とくに、頻繁に使用するスプレーガンなどは、摩耗すると均一な塗装が難しくなるため、定期的に新しいものへ交換しなければなりません。また、最新の設備を使うことで塗装の精度が向上しますが、それに比例してコストも上がります。

消耗品を多用する

板金塗装では、塗料以外にも紙やすりやパテ、コーキング剤、接着剤などの消耗品が必要です。これらの材料は一度使うと再利用できないため、その都度新しいものを使用します。

また、高品質な消耗品を使用する場合は、コストがさらに上がります。紙やすりひとつとっても、ホームセンターなどで市販されているものとプロが使用するものは性能に大きな違いがあるため、美しく仕上げるためにはこうした小さな消耗品もおろそかにはできません。

安く仕上げるには?

板金塗装を安く仕上げるためには、ピンポイントでの修理が有効です。一般的な修理業者では、ドアの傷ひとつを修理する際も片面全体を塗装しますが、ピッカーズでは、傷ついた部分のみを補修するスポット修理を行っています。

また、多くの修理業者では工程がマニュアル化されておらず、優れた技術を持つ職人でなければスピーディかつ正確な修理は難しいとされていました。しかし、ピッカーズではすべての工程をマニュアル化することによって、全技術者が精度の高い仕上がりを素早く提供できるよう徹底しています。

これによって、使用する塗料の量や余分な作業時間を大幅に削減し、高品質と低価格の両立を実現しているのがピッカーズの大きな特長です。

車における板金作業の修理例

板金作業は自動車の傷やサビなどを修理する時にも行われ、修理内容や方法はさまざまです。ここでは、自動車における板金作業の修理例を5つ紹介します。

1. 浅いひっかき傷

ひっかき傷は、自動車が走っている時に小石や砂が当たったり、子どもが石で落書きしたりした時などにつきます。自動車の塗装は表面が薄いので、浅いひっかき傷でも劣化につながる恐れがあるでしょう。

浅いひっかき傷を修理する際、コンパウンドで修復できるケースがあります。しかし、傷の深さによっては、板金で修理しなければいけない場合があります。

2. へこみ傷

へこみ傷は、自動車が縁石に乗り上げたり、障害物にぶつかったりすると生じやすいです。カバンを当ててしまった場合でも、へこみ傷がつくケースがあります。

へこみ傷の程度によりますが、塗料が剥がれていると板金作業による修復が必要であるといえます。塗料が剥がれた部分を放置すると、サビつく原因になるので、できるだけ早めに修理してもらうことがおすすめです。

軽いへこみ傷の場合は、裏から叩いたり、専用の道具を使って表面から引っ張ったりして修復できるケースがあります。一方で、へこみ傷の状態がひどい場合は、修復ではなくパネル自体を交換しなければいけない可能性があります。

3. 塗装剥げ

自動車のボディは、事故を起こしていなくても紫外線ダメージや経年劣化などが原因で塗装が剥げてしまう場合があるので注意が必要です。へこみがなければ、再塗装するだけで修復が完了します。

4. サビ

自動車は主に金属でできているため、経年劣化などでサビが生じやすいです。傷などで塗装が剥げている部分があると、雨や雪などによりサビが発生しやすくなってしまいます。サビの進行を放置すると、ボディがボロボロと剥がれ落ちてくるケースがあります。

サビの進行具合が軽ければ、サビを落として再塗装のみで修復が完了です。しかし、サビの進行具合がひどければ、パネル自体を交換するなど大規模な板金作業となります。

5. バンパーの傷

パンパーには、金属製や樹脂製など異なる素材が使われているケースがあります。樹脂製のバンパーに傷がついた場合、板金加工には該当しませんが、ボディ塗装というカテゴリで再塗装が行われることが多いです。

近年使用されている自動車のバンパーには、交通事故防止のためにセンサーが内蔵されています。バンパーを修復するために脱着を行うと、センサーの不具合が起こる可能性があります。

こちらの記事では、板金修理にかかるパーツごとの費用相場について解説しています。作業の流れや費用を抑えるポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

板金修理の技術を見分けるポイント

自動車の板金修理は、いかに見た目をもとに戻せるかが重要であり、技術量によって仕上がりが異なるケースがあるでしょう。ここでは、板金修理の技術を見分けるためのポイントを5つ紹介します。

1. 高性能な機材など設備が充実しているか

自動車の板金修理は、ひっかき傷やへこみ傷など、状態に合わせて適切な機材などを使っていく必要があります。どのような状態にも対応できるように、高性能な機材などの設備が充実しているかを確認するとよいでしょう。

ピッカーズでは、作業に使用する工具や塗料にも徹底的にこだわります。通常使用されるものよりもより早く乾く塗料やパテ(形をととのえる粘土のようなもの)を使っています。時間もコストだと考えているからです。

また、ハード面での秘密のもうひとつがスプレーガンです。通常、鈑金屋で使用しているものは、塗装した際に70%近くが空気中へ飛んでしまい、ボディに着くのはわずか30%ほど。

こうした無駄を避けるため、ピッカーズでは、より高性能なスプレーガンを使用しています。このガンなら、空気中へ飛散するのは30%程度に抑えられ、ボディに70%付着します。このガンを導入するだけでも、使用する塗料の量は大幅に違ってくるのです。

2. 修理箇所の色が修理前と同じ色にできているか

自動車の板金修理では、塗装の剥がれをなおすために塗料を使って再塗装するケースがあります。自動車の色はメーカーやモデルによってさまざまなので、まったく同じ色の塗料を使わなければ、修理前と異なる色になってしまうでしょう。

塗料の色を間違えると、かえって修理箇所が目立ってしまいます。塗料の色は車体に番号が刻まれていることが一般的ですが、メーカーやモデルによっては記載箇所が異なるので、事前に調べておくことがポイントです。

3. 修理後にザラつきや歪みがないか

自動車の板金修理では、ボディにザラつきや歪みが生じていないかが重要です。ザラつきがあればしっかり研磨されていない、歪みがあれば曲げ加工などで不具合があった、などの原因が考えられるでしょう。

また、塗装で均等に塗らなければ、場所によって厚みが異なる状態になってしまいます。塗装作業中に入った気泡が放置されれば、ザラつきの原因になります。

4. 塗料の液ダレがないか

塗装作業を行ってもらう場合は、液ダレや液ムラがないか確認することが大切です。塗り忘れがある時は、最終確認ができていないととらえられます。一刻も早く持ち主に渡すスムーズさも求められますが、丁寧に対応してもらえるか確認しましょう。

5. 全体的な見た目や動作が問題ないか

自動車の板金修理は、見た目をもとに戻すことが求められます。修理後に全体的な見た目に問題がないか確認することが大切です。誰が見ても修理箇所がわからない状態になっていると、技術力が高いといえるでしょう。

また、見た目だけではなく、実際に問題なく作動するかも確認することが大切です。動作に関わる箇所を触った場合、修理後の動作に影響する可能性があります。

板金修理を行ってくれる専門業者は?

自動車の板金修理に対応しているさまざまな専門業者があるので、どこに依頼すべきかわからない方がいるのではないでしょうか。ここでは、板金修理に対応している専門業者を3つと各業者の特徴を紹介します。

自動車修理工場

自動車修理工場は、さまざまある自動車修理のなかでも板金修理に特化しています。町にあったり、全国にチェーン展開していたりとさまざまです。

板金修理の中間コストをかけずに直接依頼することになるので、他の専門業者に依頼するよりも費用を安く抑えられる可能性が高いです。ただし、工場によって技術や受付対応に差があるので、事前にリサーチしておくことがポイントです。

ディーラー

ディーラーは、自動車メーカーの自社工場や、外注先の自動車修理工場で修理を行います。自社工場で板金修理を行う場合、純正部品を使って修理でき、一定の高水準の仕上がりが期待できます。

ただし、純正部品を使ったり、自動車修理工場に外注したりすると、他の専門業者よりもコストがかかる可能性が高いです。ディーラーへの依頼は、コストよりも技術を重視したい方に適しています。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドは、小規模な板金修理に対応しているところが多いです。スピーディさに力を入れているところが多く、作業時間を最小限に抑えていち早く持ち主の手元に届けられるようにこだわっています。

修理にかかる費用は安い傾向にあり、外出先でふらっと立ち寄って利用できるほどの手軽さを売りにしているところもあります。ただし、大規模な板金修理には対応していないところもあり、事前に対応可能か確認する必要があるでしょう。

板金修理業者の選び方

板金修理を依頼する際、数ある業者のなかから自分に合ったところを選ぶことが大切です。ここでは、板金修理業者を選ぶ時のポイントを6つ紹介します。

1. 経験や実績が豊富か

板金修理は、見た目を大きく左右する作業のひとつなので、経験や実績が豊富なところに依頼することがおすすめです。修理前の状態を見て適切な対応をしてもらえるように、多くの知識を培っている業者に依頼すると安心でしょう。

2. 相談しやすいか

板金修理では、修理箇所はもちろん、他に気になる箇所があれば相談しておくことが大切です。修理後の不具合にも対応してもらえるように、相談しやすいところに依頼するとよいでしょう。

3. 求める施工をしてもらえるか

板金修理に対応している業者によっては、小規模の修理に対応できても、大規模の修理は対応できないところがあります。スムーズに対応してもらえるように、事前に求める施工をしてもらえるか確認しておきましょう。

4. 見積もりが明瞭か

板金修理の内容によっては多額の修理費用がかかってしまうので、事前見積もりが明瞭であることがポイントです。具体的には、板金修理後に見積金額が変わることがないことを確認しておくとよいでしょう。

5. 専用の設備が整っているか

大規模な板金修理の場合は、手作業ではなかなか対応できない部分があるので、専用の設備が整っているところに依頼することがおすすめです。業者の公式サイトは、どのような設備が整っているかを記載していることが多いのでチェックしてみましょう。

6. サービスが豊富かどうか

板金修理が完了したあと、コーティングやアフターサポートなどにも対応しているか確認してみましょう。自動車のメンテナンスに関するサービスや、買い替えに関するサービスなどがあれば、今後のカーライフのパートナーとして関係性を築けます。

ピッカーズでは、キズやヘコミの修理のためご来店頂いたお客様には、無料にてお見積りをご提供させていただいております。電話とネットからご予約が可能なため、修理費用を知りたい方は、ぜひ一度ご来店下さい。

まとめ

自動車の板金修理は、技術力が問われる作業なので、経験や実績が豊富なところに依頼することがポイントです。その他、相談しやすく、さまざまな設備やサービスがそろっているところだと、板金修理以外にも対応してもらえるでしょう。

ピッカーズは、自社工場で板金修理を行っている自動車修理業者です。1,400店舗以上を展開しているので、コストだけではなく技術も重視したい方は、早い・安い・キレイな仕上がりのピッカーズにぜひお問い合わせください。