2025.08.20
車が花粉・黄砂によって受ける影響は?落とし方や予防方法を解説

目 次
春は花粉や黄砂が増える悩ましい季節。「愛車に付いた花粉や黄砂はどう落とせばいい?」「黄砂で傷んだ塗装は自分で直してもいいのかな?」などと、お悩みの方もいるでしょう。
花粉や黄砂は、放置すると頑固なシミや傷の原因となって、車の塗装面に深刻なダメージを与えることもあります。大切な愛車の価値を損なわないためには、適切な対処を行い、花粉や黄砂のピーク時でも美しい状態を保つことを意識しましょう。
この記事では、花粉や黄砂が車に与える具体的な影響から効果的な落とし方、予防方法まで詳しく解説します。愛車のメンテナンスでお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。
車が花粉・黄砂によって受ける影響は?
車が花粉や黄砂によって受ける主な影響は、塗装におけるシミの形成と劣化の進行です。とくに花粉によるシミの対処を怠ると、修復が困難になる可能性もあります。
また、花粉と黄砂はそれぞれ異なるメカニズムで車体に悪影響を与えます。適切に対処するためにも、それぞれがもたらす影響を詳しく見ていきましょう。
花粉による影響
花粉が車に与える最大の影響は、塗装面に頑固なシミ汚れを残すことです。
花粉は一粒当たり18μm〜40μm(1μmは1mmの1,000分の1)程度と微小なため、肉眼では確認できません。しかし、大量に車体へ付着すると、黄色がかった粉状の汚れとして目視可能です。とくに、黒やネイビーといった濃色車では目立ちやすく、愛車の見た目の美しさが大きく損なわれます。
花粉には油分やタンパク質が含まれており、夜露や雨で水分を含むとペクチンという成分を分泌します。このペクチンが、塗装面に残る頑固なシミの原因です。ペクチンは春の暖かい日差しや湿気によって化学反応が進行すると、塗装の奥深くまで浸透し、通常の洗浄では除去できなくなります。
また、花粉による塗装ダメージは見た目だけでなく、車の資産価値にも影響を与えます。シミが広範囲に及ぶ場合、部分補修では対応できず、パネル全体の再塗装が必要になることも少なくありません。その結果、修理費用が高額になり、査定時に減額されます。
花粉の飛散時期は地域や植物によって異なりますが、とくにメジャーな花粉のヒノキとスギは2〜4月にかけて多く飛散します。そのため、この期間は車における花粉対策がとくに重要です。
黄砂による影響
黄砂とは、硬い鉱物成分や粘土の成分を含む微細で硬質な砂塵です。中国の砂漠地帯から飛来し、主に3〜5月の春季に集中します。黄砂による車への主な影響は、塗装面への傷と変色です。
黄砂が車体に付着した状態で風雨にさらされると、研磨剤のように塗装面を削り、微細な傷を無数に作り出します。一つひとつの傷は目立ちにくいものの、塗装の光沢が失われ、遠目から見ると車全体がくすんだ印象になります。光沢を復活させるために洗車したいところですが、やり方によっては砂粒が引きずられてさらに傷が増えるため、適切な洗車方法をとらなくてはなりません。
また、化学変化の影響も深刻です。黄砂に含まれるアルカリ性物質が酸性雨と反応すると、塗装の劣化が進行し、色あせや変色を引き起こします。とくに白い車では黄ばみが目立ち、黒い車では色あせが目立つ傾向にあり、多くの場合で塗装の塗り直しやコーティングなどの対処が必要です。
さらに、黄砂は車体だけでなく、窓ガラスやワイパーゴムにも悪影響を及ぼします。窓ガラスに対しては曇りや視界不良の原因となり、ワイパーゴムにおいては劣化が進行してワイパーブレードの交換頻度が増えます。
こうした複合的な影響により、車のメンテナンスコストが増加するうえに、車の寿命にも悪影響を与えかねません。
車に付着した花粉・黄砂の落とし方
車に付着した花粉・黄砂をしっかり落とすためには、段階的なアプローチが必要です。まずは水洗い、次にシャンプー、最後に拭き上げという手順で進めましょう。
最初に行うのは、高圧洗浄機やホースを使った水洗いです。初めに水洗いを徹底することで、後工程の際に塗装面が傷つくのを防ぎます。高圧洗浄機を使用すると頑固な汚れでも効率的に除去できますが、こうした道具を持っていない場合は通常のホースでも問題ありません。
水洗いの際は、車体の上部から下部に向かって、通常より多くの水で洗い流しましょう。花粉や黄砂は水分を含むと落ちにくくなるため、この段階で念入りに除去することが大切です。
水洗いが完了したあとはカーシャンプーを多めに使用し、十分に泡立ててから擦りましょう。上から下へ、汚れの少ない部分から多い部分へと順番に洗い、洗剤が残らないよう水でしっかり流します。スポンジやマイクロファイバークロスを使い、優しく洗うことがポイントです。
すすぎを終えたあとは、吸水性の高い洗車用クロスを使用し、拭き残しがないよう丁寧に拭き上げます。汚れが残っている際は、拭き上げやコーティングを行わずに水洗いに戻りましょう。汚れがある状態で仕上げを行うと、花粉や黄砂が車体を傷付け、細かな擦り傷が生じます。
これらのポイントを押さえることで、よりキレイに花粉や黄砂を落とせるでしょう。
花粉シミや黄砂による傷が付いてしまった場合、再塗装を検討するのもよいでしょう。こちらの記事では、板金塗装の作業内容や期間・費用の目安について解説しています。
洗車する際のNG行為は?
花粉が付着した車を洗う際には、避けるべき行為があります。間違った洗車の仕方をしてしまうと、花粉や黄砂が研磨剤のように作用し、塗装面に傷を付ける可能性があります。ここでは、3つのNG行為について詳しく見ていきましょう。
いきなり機械洗車する
1つ目のNG行為は、機械洗車をいきなりすることです。機械洗車はブラシの圧力や水圧がかなり強く、花粉や黄砂が付着した状態で行うと、汚れを車体に擦り付けることになります。とくに黄砂は粒子が硬質なため、強く擦ると塗装面に無数の細かい傷が付くこともあります。
愛車を傷付けないためにも、機械洗車を利用する前は花粉や黄砂を十分な量の水を用いてしっかりと洗い流すことが大切です。
いきなりコーティング剤を使う
2つ目が、花粉や黄砂を除去せずにコーティング剤を使用することです。花粉が付着したままコーティング剤を塗布すると、花粉がコーティング剤の下に閉じ込められ、除去が困難になります。また、コーティング剤本来の効果も発揮されません。
そのため、コーティング剤を使う際は、花粉や黄砂を事前にしっかり洗い流してから使用しましょう。
風の強い日に洗車をする
3つ目が、風の強い日に洗車をすることです。風が強い日は、洗車中に新たな花粉や砂埃が車体に付着する可能性が高くなります。
花粉を洗い流しても、すぐに汚れが付着しては意味がありません。また強風によって洗剤の泡が飛ばされたり、水分が急速に乾燥したりするため、洗車効率も大幅に低下します。
そのため自分で洗車する際は、風の穏やかな日を選び、屋内やガレージなどの風を避けられる場所で作業するとよいでしょう。
洗車で取れない花粉シミの取り方
洗車で取れない花粉シミには、熱を利用した対処法が効果的です。具体的には、ヒートガン・ドライヤーで温める方法や熱湯をかける方法、太陽光の熱を利用する方法、専用クリーナーを使用する方法があります。ここでは、それぞれの特徴と手順について詳しく紹介します。

ヒートガン・ドライヤーで車体を温めて落とす
ヒートガン・ドライヤーで車体を温めると、花粉シミを除去できます。花粉シミの原因であるペクチンは、60〜70℃程度の熱を加えると柔らかくなり、除去しやすくなります。
ただし、塗装を傷める可能性があるため、温める際は車体から十分に離し、一箇所に長時間当て続けないよう注意しましょう。とくに樹脂パーツや薄い塗装部分では、変形や変色のリスクが高まります。
温めた後は、柔らかいマイクロファイバークロスで優しく拭き取りましょう。
熱湯で落とす
花粉汚れの原因であるペクチンは熱に弱い性質を持っているため、お湯で分解できます。そのため、花粉シミに適切な温度のお湯をかけることで、効率的かつ簡単に除去可能です。
花粉シミを取る際のお湯の温度は70〜80℃程度が最適で、ぐらぐらと沸騰したお湯は避けなければなりません。高温すぎると、塗装や樹脂パーツにダメージを与える恐れがあるためです。
作業手順としては、シミ部分にクロスを当て、その上からゆっくりと熱湯をかけます。急激な温度変化はボディに悪影響を及ぼす可能性があるため、お湯をかけた後は、柔らかいスポンジを用いてすぐに拭き取りましょう。
太陽光の熱で温めて落とす
太陽光の熱を利用することで、花粉シミを自然に取り除けます。具体的には、ペクチンの化学的性質を活かし、直射日光が当たる場所に車を駐車し、花粉シミが落ちるのを待つという方法です。
ペクチンは熱に弱い性質があるため、太陽の熱が集まると樹脂成分が柔らかくなり、日陰や曇りの日の洗車よりも除去しやすくなります。とくに、黒をはじめとした濃色車のボディは、気温の高い日に放置すると80℃近くになるため、数時間外に出しておくことで花粉シミを除去できます。
この方法は、とくに春〜夏にかけての晴天時、時間帯は午前10時〜午後2時までの日差しが強い時に行いましょう。ボディ表面が手で触れて温かく感じる程度まで温まった時が、洗車の最適な開始タイミングです。
ただし、温度が上がりすぎると塗装にダメージを与えるため、速やかに進めることがポイントです。
熱で取れない場合はクリーナーを使う
熱による方法で除去できない花粉シミには、専用クリーナーの使用が効果的です。とくに、市販の花粉除去クリーナーが役立ちます。
一方、軽研磨剤入りのコンパウンドクリーナーは過剰に塗装を削る可能性があるため、扱う際は必ず事前に目立たない部分で試し、塗装への影響を確認してから使用しましょう。
クリーナーは、花粉の樹脂成分に対する化学分解や軽微な研磨によって頑固な汚れを除去します。クリーナーを利用する際は、直射日光を避けた場所で、柔らかい布で優しく円を描くように擦ります。使用後は水で洗い流し、ワックスやコーティング剤で保護しましょう。
なお、力を入れすぎると塗装を傷めるため注意が必要です。クリーナーでも除去できない深刻な花粉シミの場合は、プロの板金塗装業者への相談をおすすめします。
板金塗装のピッカーズでは、全国でさまざまな板金修理を承っております。公式サイトの「板金修理事例」では、実際の仕上がりや修理費用をご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
花粉・黄砂の予防方法
車の花粉・黄砂被害を防ぐには、事前の対策が重要です。放置すると塗装にシミが残り、修復に高額な費用がかかります。ここでは、効果的な予防方法を3つご紹介します。
ボディカバーをかける
確実性の高い予防方法は、車にボディカバーをかける方法です。物理的に花粉や黄砂の付着を防げるため、根本的な解決策といえます。とくに、長期間駐車する際や花粉の飛散量が多い時期に効果的です。
ただし、毎日使用する場合は着脱の手間を要することがデメリットです。できる限り手間を減らしたい場合は、花粉シーズン中の夜間保管時や週末のみなど花粉が集中する時期に絞って活用するとよいでしょう。
また、風でカバーが車体に擦れ、傷が付く可能性もあります。そのため、車体との接触部分にクッション材があるものや、裏地が柔らかい素材のものがおすすめです。
車にコーティング・撥水加工を施工する
コーティングや撥水加工を施すことで、花粉や黄砂が車体に固着しにくくなります。表面がツルツルになることで汚れが付きにくく、付着しても水洗いで簡単に落とせるようになるためです。とくにガラスコーティングは耐久性が高く、一度施工すると3〜5年程度持続する場合もあります。
施工方法は、DIYとプロに依頼する方法の2種類です。DIYで行う場合は数千円で手軽ですが、大きな手間がかかります。一方、プロによる施工は数万円かかるものの、品質と持続性が保証されます。
とくに新車購入時に施工すると、塗装の美しさを長期間維持できるためおすすめです。日常的な洗車の手間も大幅に軽減されるため、愛車を長期間美しく保ちたい方には投資価値の高い選択肢です。年に一度の施工で十分な効果が期待できます。
定期的に洗車をする
花粉シーズン中は、通常よりも頻繁に洗車することが重要です。花粉や黄砂は時間が経つほど車体に固着し、除去が困難になるため、週に1〜2回程度の洗車が理想です。とくに雨上がりは花粉が湿気を含むことで粘着力が増すため、早めに対処しましょう。
洗車に行くタイミングがない場合は、水洗いだけでも定期的に行うことで被害を最小限に抑えられます。こまめなケアが愛車の塗装を守る基本です。継続的な手入れにより、車の美観と資産価値を維持しましょう。
花粉時期の洗車頻度・タイミングは?
花粉は車体に日々蓄積します。とくに、ヒノキとスギの花粉飛散量の多い2〜4月にかけては、2〜3日放置するだけでも塗装面に花粉が固着し始めます。
そのため、通常時の月1〜2回の洗車では、花粉による塗装ダメージを十分に防げません。花粉シーズン中は、週1〜2回の頻度での洗車が必要です。時間が経つほど除去が困難になるため、雨が降ってペクチンが発生する前に洗車をしましょう。
また、雨によって空気中の花粉が洗い流された直後は、新たな花粉が付着しにくくなります。とくに気温の低い夕方や早朝は花粉の飛散量が減少するため、洗車後の再付着を最小限に抑えられます。そのため、洗車のベストタイミングは、花粉飛散量の少ない雨上がりや夕方です。曇りの日や風が穏やかな日も、比較的花粉の飛散が少ないため理想的なタイミングといえます。
逆に、風の強い日中や晴天時は避けましょう。この天候は多くの花粉が舞い上がりやすく、せっかく洗車してもすぐに再付着してしまいます。
なお、定期的な洗車を行っても取れない頑固な花粉シミは、塗装の専門技術を持つ業者への相談がおすすめです。プロの技術を頼ることで、セルフ洗車では対処困難なシミも効果的に除去し、愛車の塗装を長期間美しく保てます。
洗車やクリーナーでも花粉シミが取れないなら業者に依頼しよう
自力での洗車や市販のクリーナーを使っても花粉シミが取れない場合は、プロの業者に依頼することをおすすめします。花粉シミが深く浸透した塗装面は、一般的な洗車用品では十分に除去できません。
無理に擦り続けると塗装面に傷を付けてしまい、かえって修理費用が高額になる可能性があります。また、誤った方法で対処すると塗装の劣化を早めることにつながります。
板金塗装の専門業者であれば、塗装面の状態を適切に診断し、最適な方法でシミを除去可能です。専門的な機材や技術により、個人では対処困難な汚れも効果的に落とせます。必要に応じて部分的な塗装も補修できるため、コストを抑え、愛車を元の美しい状態に戻せます。
頑固な花粉シミでお困りの際は、専門業者へ早めに相談しましょう。
ピッカーズでは「早く・キレイに・安く」をモットーに、高品質な修理サービスを提供しています。ネットまたはお電話から、簡単にご予約・お見積もりが可能です。ぜひお気軽にご利用ください。
まとめ
車の花粉・黄砂対策では、定期的な洗車と適切な除去方法を実践することが重要です。洗車やクリーナーでも取れない花粉シミが発生した場合は、無理に自分で処理せず専門業者に相談することをおすすめします。塗装の深部まで浸透した汚れを自分で洗車すると、かえって塗装面を傷めてしまう可能性があります。
頑固な花粉・黄砂汚れによる愛車へのダメージケアは、ピッカーズにお任せください。ピッカーズでは「早い・キレイ・安い」をモットーに、花粉や黄砂によるダメージも適切に修復いたします。
プロの技術により塗装面を元の状態に戻すことで、愛車の美観と資産価値を維持していただけます。花粉シミでお困りの際は、ピッカーズにぜひご相談ください。